2016年3月8日 08:00
2020年以降の半導体製造装置業界はどうなる? - SEAJが探る勝ち残り戦略とは (6) 日本の半導体製造装置産業に輝かしい未来は到来するのか?
など、さまざまな事例を学ぶことで、勝ち残っていくためにはビジネスモデル自体を変えていく必要があることに気がついたという。それだけにプロジェクトの報告は、新しい戦略立案に加えて新たなビジネスモデルへと踏み込んだ大作に仕上がっている。関係者の業界変革への意欲とここまでまとめ上げた努力に敬意を表したい。
しかし、基本的なところでいくつも疑問が残る。例えば、最先端世代において、従来の半導体コンソーシアムの失敗を反面教師として装置メーカーのコンソーシアムを提案したというが、主導者が不明確な仲良しクラブ的運営では、これまでの半導体コンソーシアムの二の舞となりはしないかという懸念がある。また、先端成熟世代に対しても、IoT時代を迎えようとしている昨今、「製造業のサービス業化」への動きが全世界的に急速に顕在化してきている中にあって、従量課金モデルを指向しつつも装置メーカーのリスク回避(製造原価回収)を優先する結果、既存のリース業まがいのモデルに留まってしまう可能性も否めない。さらに成熟する社会において、従来は生のデータをそのままクラウドに上げ、その先でデータ解析を行う考えが強かったものの、今後は、エッジコンピューティングでクラウドの負荷を減らす方向に進みそうな状況となりつつあり、果たして減価償却がとっくの昔に終わった老朽化したラインで大昔の技術で造ったIoT用デバイスに競争力があるのだろうか。