2016年3月10日 10:02
軍事とIT (129) 軍事作戦と暗号(3)暗号の機械化
そこで登場したのがローターである。ローターの両側に電気接点があり、1つの接点が1つの文字に対応する。ただし、両面の接点の文字の配列は同じではなく、かつ、内部配線によって入力側と出力側の文字が必ず変わるようにしておく。
この場合、ローターが換字表の役割を果たしている。だから、同じ配列と内部配線を持つローターが1つあるだけでは、変換パターンは1つしかできず、少なすぎる。そこで、内部配線(換字のパターン)が異なる複数のローターを用意することになる。
複数の中から1つのローターを選び出して使ってもよいが、同時に複数のローターを組み合わせて使うと、もっと話を複雑にできる。
つまり、1文字タイプするごとにローターが1段階ずつ回転するようにする。
26文字のローターなら、1個目のローターが1周するには26文字タイプする必要がある。そこで27文字目をタイプすると、2個目のローターが1段階回転する。
○エニグマの考え方
この考え方を使って作られたのが、かの有名なナチス・ドイツのエニグマ暗号機である。後になって4個ローターのモデルも作られたが、基本的には3個ローターだ。26文字×3個ローターなら、すべてのローターが最初の位置に戻ってくるまでには26×26×26=1万7576文字をタイプしなければならない。