くらし情報『軍事とIT (129) 軍事作戦と暗号(3)暗号の機械化』

2016年3月10日 10:02

軍事とIT (129) 軍事作戦と暗号(3)暗号の機械化

例えば「A」のジャックと「Q」のジャックをつなぐと、ローターに入力する前の文字「A」は「Q」に、「Q」は「A」に化ける。その後で複数のローターによる換字が行われる。プラグボードは、換字を行うのではなく、文字を入れ替えて話をややこしくするためのものである点に留意してほしい。

この「使用するローターの種類と位置」「個々のローターの開始位置」「プラグボードの結線」という情報を、通信する当事者同士でそろえておけばよい。これがすなわち「鍵」の情報に当たる。こうしたエニグマの設計思想は、「アルゴリズムは公知のものだが、鍵探索を困難にすることで解読を妨げる」という、今のコンピュータ・ベースの暗号と同じである。

もし暗号機が敵に鹵獲されたとしても、わかるのは、その時点で組み込まれていたローターの内部配線だけである。それをどう組み合わせて、どの開始位置にセットして使うかがわからなければ解読は不可能であり、あり得る順列組み合わせはプラグボードまで含めると天文学的な数だから、エニグマ暗号機は難攻不落……のはずだった。


ところが、当事者は難攻不落だと思っていたエニグマ暗号機だが、まずポーランド、続いてイギリスの暗号解読者達の努力により、解読されてしまった。

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