2016年3月14日 09:41
医療分野に進出するドコモ、通信会社は何を生み出すのか
(村上氏)。
現在、スマートフォンやウェアラブル機器の多くで確認できるのは「ウェルネス・ヘルスケア」にまつわるものが中心だ。とはいえ、規制の厳しいメディカル分野においても、ドコモは積極的にさまざまな病院や研究機関と一緒になってICTの導入を進めている。
そのひとつが、東京大学医学部附属病院と共同開発した「クラウド型12誘導心電図伝送システム」だ。これは心筋梗塞を発症した患者に対し、救急車の中で測定した12誘導心電図をクラウドにアップロードし、循環器専門医がクラウドにアクセスして遠隔からデータを確認できるというもの。クラウドを使うことで、同時に複数の専門医がデータにアクセスでき、設備と受け入れ態勢の整った医療機関に適切に搬送できるというメリットがある。このシステムでは、技術面での貢献、例えば、搬送中にも正確な心電図波形を送信するためのウェーブレット変換や、安定したクラウド環境の提供はドコモが担い、専門医にとって必要な仕様などは東大病院の医師からのアドバイスにより実現している。これも「+d」が言うところの「協創」なわけだ。
こうした開発のため、ドコモからは専属のスタッフが東京大学医学部附属病院へ派遣され、現場の医師たちと綿密な情報交換を行っている。