2016年3月16日 18:29
「京」でフラーレン分子の高精度電子状態計算に成功、生成熱を予測 - 理研
を組み合わせ、C60フラーレン分子と高次フラーレン分子C70、C76、C78、C84、C90、C96、C180、C240、C320の合計10種類を対象に、世界最大規模の高精度な電子状態計算を実施。この結果、これら10種類のフラーレン分子の生成熱を高精度に理論予測することに成功した。C60フラーレン分子の生成熱は2520.0 ± 20.7 kJ/mol、C70フラーレン分子の生成熱は2683.4 ± 17.7 kJ/molと予測されている。
また得られた知見から「より大きなフラーレン分子の生成熱を算出する一般的な計算式」を導出。計算によって得られる限りなく大きなフラーレン分子の生成熱は、実験によって得られるグラフェン分子2面分の生成熱とほぼ等しくなると考えられていたが、今回の研究では炭素数を増やしてもグラフェンの値には近づかないことがわかった。フラーレン分子では結合の五角形部分の歪みが従来の予想以上に大きくなり、炭素原子間の結合が不安定となる領域が存在するため、安定な六角形のみで形成されるグラフェンとは大きく異なる電子状態を示すという。同研究グループは、今回の研究を発展させることにより、新しい材料設計の指針を計算化学の立場から立てることが期待できるとしている。
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