2016年4月5日 04:00
温泉街の寂れた事務所を"理想の家"に - 成功するリノベーションの秘密
検番の3階は40畳ほどの大広間となっており、南側の奥には伎芸の稽古が行われたであろう、低い舞台が備えられていた。
「日本海側の城崎は、冬は寒いですし、南側には竹林と山があります。必然的に、長く家族がいる場所は日が当たりやすい3階になるので、3階をメインに家全体の設計を考えました。窓がある3階の北側に立つと、川の向こうに城崎の景色を一望できます。ここを皆が気持ちよく過ごせる場所、そして奥さんの仕事場として設定しました」と加藤氏。ちなみに田口氏の妻は漫画家で、仕事は基本的に在宅で行うという。
そして、加藤氏の中で大まかな構想が固まった。「田口さんも料理を作りますし、皆が過ごす場所から一番近い所にキッチンを置くことにしました。
外の景色を望む仕事場と、そのすぐ横に寄り添うように位置する、部屋全体を見られるようなアイランドキッチン、というのが最初に思い浮かんだ構想です」。
こうして、キッチンを中心とした空間づくりが行われることとなった。次のページでは、検番を生まれ変わらせた数々の工夫を紹介する。→次ページ: 検番を解体して出てきた"宝物"とは?
●キレイにしすぎると空間が死ぬ
○解体して出てきた"宝物"
このリノベーションを語る上で欠かせないエピソードがある。