『ALWAYS』『寄生獣』を生んだ"説得力"とは? 名プロデューサーが、これからの映画人に期待するもの
3頭身ぐらいのキャラクターが動いている原作なので、それが周囲には映像に結びつかなかったんでしょうね。あとは、「昭和の話を観る人がいるのか」という意見もありました。
でも、私は90年代になんとなく「昭和ブーム」を感じていて。例えば、横浜のラーメン博物館ができたのが1993年。内装は昭和をイメージし、お店を競争されることで高いクオリティーを保って成功を収めました。池袋にあるナンジャタウンにも、昭和のムードが漂う店がありました。台場一丁目商店街もレトロ感が受けていた。大分の豊後高田には、取り残された商店街がありましたが、あるアイデアマンはそれを「レトロ」に置き換えて、集客に成功しました。
世の中にはたくさんの「昭和」があふれていましたが、映画には「昭和」がなかった。潜在的なブームを感じていて、何よりも「自分自身が昭和を愛していた」から、何としても映像化したいと考えたんです。反論や説得できる情報を用意していましたが、さらにパイロット版の映像も作りました。予算1,000万に対して、結果的には倍かかってしまいました。もうしょうがないなと(笑)。でも、その約3分のCG映像で多くの人の態度が変わりました。