京大など、従来とは異なる仕組みで圧電性を示すペロブスカイト酸化物を発見
そこで研究チームは今回、NaRTiO4の組成を持つ一連の層状ペロブスカイト酸化物に注目し、その従来とは異なる中心対称性を持たないメカニズムによって圧電性を示すことを、理化学研究所が所有しJASRIが運用する大型放射光施設SPring-8の粉末結晶構造解析ビームライン「BL02B2」を用いたX線回折測定、「光第二高調波発生測定」、「ピエゾ応答力顕微鏡観察」、ならびに「第一原理計算」により明らかにした。
今回の研究における層状ペロブスカイト酸化物とは、ペロブスカイト層ABO3と岩塩層AOが交互に重なった層状構造を持ち、通常は「ルドルスデン-ポッパー相」と呼ばれている。また光第二高調波発生とは、中心対称性を持たない物質に周波数ωの光を容赦した際に、周波数2ωの光=第二高調波が生じる現象のことだ(この時に同時に「直流電場(光整流)」も生じる)。そしてピエゾ応答力顕微鏡観察とは、プローブとサンプル接地面の間に電圧をかけながら走査し、圧電(ピエゾ)応答をマッピングする顕微鏡のことである。さらに第一原理計算とは、実験により得られるパラメータを用いないことを第一原理といい、量子力学に基づいて物質のエネルギーや構造を計算する手法のことをいう。