くらし情報『京大など、従来とは異なる仕組みで圧電性を示すペロブスカイト酸化物を発見』

京大など、従来とは異なる仕組みで圧電性を示すペロブスカイト酸化物を発見

、「チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)」などが挙げられる。そのようなペロブスカイト酸化物強誘電体では、チタンと酸素の共有結合性や鉛の非共有電子対といった特定の元素に特有の性質のため結晶構造に中心対称性の破れが生じ、これが強誘電性・圧電性をもたらす。このような性質を持つ元素は限られるため、ペロブスカイト酸化物の中で中心対称性を持たない化合物は5%程度に留まっている。

しかし最近になって、共有結合や非共有電子対の存在といった元素の性質にそれほど強く依存しないメカニズムによって、結晶構造の中心対称性が破れることが理論計算により提案された。このメカニズムでは、層状ペロブスカイトにおいて、ある種のBO6酸素8面体ネットワークの回転体パターンが中心対称性を破るというものである。ほとんどのペロブスカイト酸化物が酸素8面体回転を示すことから、このメカニズムに基づけば強誘電体・圧電体の開発において特定の元素に制限されない物質設計が可能となるというわけだ。

ただし実際には、このタイプの強誘電体・圧電体はほとんど知られておらず、特に酸素8面体回転が起こると同時に結晶構造の中心対称性が破れることを実験的に検証した例は皆無だったのである。

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