くらし情報『京大など、従来とは異なる仕組みで圧電性を示すペロブスカイト酸化物を発見』

京大など、従来とは異なる仕組みで圧電性を示すペロブスカイト酸化物を発見

今回の研究では、密度汎関数法が用いられた。それに加えて、第一原理で得られた力定数から「フォノンバンド計算」が実施され、構造の動力学的安定性の評価や安定構造の探索が行われている。

これらの酸化物はこれまで、中心対称性を持ち、圧電性を示さない構造を採ると報告されていたが、今回の研究において、実際にはこれらの酸化物が報告とは異なる酸素8面体回転パターンを示し、その回転パターンの「微妙な違い」が中心対称性を破り、圧電性を生むことを突き止めたのである(画像1・2)。

実験的にも、多結晶体の放射光X線回折の測定による構造解析から、中心対称性のない構造が妥当であることが明らかとなり、さらに光第二高調波発生(画像3)とピエゾ応答の観察(画像4)から、非中心対称性が確認されたという具合だ。

放射光X線回折パターンと光第二高調波発生の温度依存性の測定から(画像3・5~7)、ある温度以下で酸素8面体回転が起こり、それと同時に中心対称性が破れることも確認された。これは、酸素8面体回転が中心対称性の破れの起源であり、圧電性をもたらすことを示しているという。

従来のペロブスカイト強誘電体において中心対称性の破れをもたらす特定の元素に特有の構造歪みとは対照的に、酸素8面体回転は、ペロブスカイト関連化合物において最もありふれた構造の歪みだ。

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