森田剛、役者に専念し変化…難役への挑戦も「今の自分ならば表現できるんじゃないか」
一木正恵(演出):普通は「ここで倒れて、立ち上がって」という段取りを、「ドライ」「テスト」と重ねて本番を撮るんですが、ドライもテストもやらなかったのがこの場面です。森田さんはきっと振り切ってくると思っていたので、「テストとか、やったらダメだ」と確信し、動く場所を確認するだけで本番に至りました。
――脚本や資料を読んで、和田信賢さんという人物をどういうふうに捉えていましたか?
森田:ドラマでも出てきたセリフでもあるんですけど「虫眼鏡で調べて望遠鏡でしゃべる」という方だなと。本当に徹底的に調べて、実際に人に会って、その人の言葉を聞いて自分の中で噛み砕いて……という方だったのだろうなと思います。そういう方の言葉は、演じる上でも興味がありましたし、そういう人だからこそ誰よりも傷つき悩み葛藤する姿を、「今の自分ならば表現できるんじゃないか」というか、「チャレンジしたい」と思って。――それは「今の自分ならば」と思う理由はあったんでしょうか?
森田:自分でも、わからないです(笑)。でもやっぱりいろいろ経験してきて、 痛みを知って、それを強さに変えることができるような気がしたんですよね。僕が感じた和田信賢さんの中身は、ぐっちゃぐちゃでぼろっぼろなんです。