塚本晋也が初の時代劇を監督「鉄と人との関わりには変わりがない」1本の刀に込めた思いとは?
では澤村のヒロイックな行動に胸にすくような思いをする面もある。その「いけいけ」と思っているお客さんの鼻先にいつの間にか刃が迫ってきているような映画にしたかったんです。
――まさか、撮影時に「ぎっくり腰」を患っていたとは思えぬほどの、見事な殺陣さばきでした。
殺陣の練習の最中、軽い竹光でよいシーンなのに、重い木刀を振り回していたら、「ピキッ」てなってしまったんですね。とはいえ、最悪の状態までには至らなかったので、おそるおそるやっていたという感じです。
――『斬、』では、蒼井優さんの魅力も最大限に引き出されていると感じました。もともと1作品ごとに異なる面を見せて下さる女優さんではありますが、今回は1本の映画の中に「蒼井優のすべて」がつまっているような気がしたんです。きっと蒼井さんが台本を読まれたときに、「一人の人間としての整合性を求められてるわけではないんだな」と解釈されて、ご自身のなかで「いろんな女性を体現しよう」という演技プランがあったんだと思うんです。
――塚本監督が演出されたというわけではないんですね。
まぁ、そういった気持ちを込めて脚本を書いたというのはありますが、特に具体的な演出はしていないですね。