愛あるセレクトをしたいママのみかた

シソンヌ、年齢を重ねてコント作りに変化「人間模様をどう面白く…」

マイナビニュース
シソンヌ、年齢を重ねてコント作りに変化「人間模様をどう面白く…」

●観客の反応をSNSでチェック
作りこまれたコントを武器とするお笑いコンビでありながら、俳優としても活躍の場を広げている「シソンヌ」(じろう/長谷川忍)。あの東野幸治も絶賛する彼らは、コント、そしてライブに対して、どう向き合っているのだろうか? 単独ライブシリーズ「シソンヌライブ」の第八弾「huit(ユイット)」のDVD(発売中)に向けて、オーディオコメンタリーの収録を行っていた2人にインタビューを行い、コントに対する思いを語ってもらった。

――今回の「huit(ユイット)」ですが、改めて映像で見てみるといかがでしたか?

じろう:なんだろうなあ。やっぱり、本番のカメラがいつもより多かったので、今まで見たことがないアングルとかあって、いつものDVDより、ちょっと凝っている感じは、少ししましたね。見ている人は気づかないと思うんですけど。

長谷川:新しいカメラのアングルが、お客様視線みたいな。前の席のお客様の視線に近かったので、普段見ているやつよりも、より臨場感があった気はするんですけど…それを見たお客さんが気付かなかったら、ちょっと寂しいですけどね(笑)。

じろう:たぶん、気づかないと思うよ(笑)。


――ネタのラインナップとしては下ネタも強めでしたが、パッケージとして「huit(ユイット)」はどんな単独ライブになったと感じていますか?

じろう:今の時代っぽいネタもありつつ、カラオケのやつ(「飲み会のあと」)とか、家を出ていかなきゃいけない問題(「叔父と甥っ子」)みたいなものとか、どこかで似たような境遇の人がいると思うので、そういう人に届けばいいなって(笑)。男性保育士と男性看護師さんには特に、カラオケのネタを見て、どういう感想を持ってもらえるのか(笑)。

長谷川:お互いに年も取って、そういう境遇の人から話を聞くことが増えて、こういうネタも増えたんだと思うので、いい年の重ね方をできて、それがネタに反映できているならいいなと。ネタにも、2人の味が出てきたらいいなとは思っていますけど、今回けっこうそれが出ていたんじゃないかな。だけど、お客さんがそう思わなかったら意味ないですからね…。

――やはり、お客さんにどう届くかが重要ですよね。お客さんの反応は、SNSなどでチェックしていましたか?
じろう:本番中はずっと見ていました。

長谷川:どんな感じかなあって。
それぞれだったよね。意外と、悪くなかった気がする。

じろう:悪口は少なかったですね(笑)。

長谷川:そこが救いですかね(笑)。

――年の重ね方というワードが出ましたが、キャリアを重ねる中で、コント作りにおいて変わってきたことはありますか?

長谷川:軸は変わってないよなあ。じろうの好きなものも変わってないし。

じろう:でもやっぱり、昔みたいな、お笑いっぽい感じの作り方はできなくなりましたね。わからなくなっちゃって。
どうやって書いてたのか。この設定でこういくかみたいな、コンテストを意識した感じのネタは、書けなくなっちゃって。

――意識的に避けているのではなく、書けなくなった?

じろう:僕がもう、書き方がわかんなくなっちゃって。そういうのは、もういいのかなっていうのもあるんです。たまに、思いついたらやるくらいの感じで。実際にいる感じの人の人間模様をどう面白くするのかっていうのが、いま自分の中で楽しくなっていると思うので、最近はそっちのネタが多くなっちゃいましたね。

――憧れのシティボーイズさん的な?

じろう:シティボーイズさんは、もうちょっと知性が…(笑)。僕らは、やっぱり品がない(笑)。
うまくパッケージで品がある感じに見せているんですけど、実際はすごく低俗な題材が多いので、あの知性はまだないです。ああなりたいですけど(笑)。

長谷川:この間、見て思ったんです。みなさんがシティボーイズさんと同じようなラインに立たせてくれるので、ありがたいんですけど、やっぱり全然違うもんな(笑)。東京03さんのライブも見に行ったんですけど、やっぱり違いますね。よく一緒に名前を挙げていただけるので光栄なんですけど、その中ではやっぱり俺らが、題材的なものは一番ひどいなと思いました(笑)。

――とはいえ「くだらないからこそ好き」という方も多いんじゃないでしょうか。

じろう:そういう人も、中には…。


長谷川:「くだらないようなことを真剣にやる」っていう面白さでやっているところもあるので、そうですね。別に、題材はああいうものになってもいいのかなとは思っているんです。

――お二人のコントでは、不器用な人の一生懸命な姿が見られるので、元気になる人もいますよね。長谷川:そう思ってくれたらありがたいですね。

じろう:そうですね。

●シソンヌ好きな東野幸治の反応

――今回のDVDでも対談されていますが、「huit(ユイット)」について、東野さんはどんなことを仰っていましたか

じろう:東野さんはいつも、見てすぐ帰っちゃうんですよ。今回は、あんまり東野さんにハマってなかったのかなって(笑)。

――ええ!? そう思った理由は?

じろう:いっつも(SNSとかに)書いてくれるんですよ。
このネタがすごく好きだったみたいなことを。今回、なかった気がしたな…。

長谷川:なかったっけ?

じろう:東野さんの笑い声は目立つので、どれで笑ってるかというのはわかるんですけど…。インスタの方にも書いてなかった? 書いてたかなあ? どうだったっけ? だから、次回も来てくれるかどうか不安です。次回来なかったら、今年のはあんまりハマってなかったっていうことですね(笑)。

長谷川:(インスタを調べて)書いてくれてるよ。書いてくれてました。よかった。
これ(「知らない自分」)と、片付けのやつ(「CHINMARI ~Let’s キラメキお片付け~」)が好きだって書いてくれていますね(笑)。

――よかったです(笑)。ところで、単独ライブというパッケージにおいてコントを作るときには、どういった点を大切にしているのでしょう?

じろう:単独ライブを作るときは、なるべくジャンルが似ないように作ることは、いつも意識しています。こんなこともできるんだっていうのを、なるべく6本。全体として作ろうと思っているんです。一貫したコンセプトみたいなものは、最近はあまり持たせないようにしています。

――今回は、やっていて楽しめました?

じろう:毎年ですけど、今回も色々と楽しかったですね。やりがいのあるネタが多かったので。

――長谷川さんのお気に入りのネタはありますか?あと、シソンヌのファンが特に喜びそうなネタは?

長谷川:やってて楽しいのと、皆さんが好きなのは、また違うのかなと思っちゃうところもあるんですよね…キッチンのやつとお尻のやつは楽しかったですね(笑)。この1本目と3本目は、台本もそこまでカチッとせずに始まっていったネタなんです。なんとなく振って、ボケて、つっこんでみて、良かったら残っていくみたいな感じだったので、楽しかったですね。本番で出てこないネタもあるので、常に新鮮な気持ちでできました。バカなことを真剣にやっている楽しさもありました。お客様が喜びそうなやつ…「飲み会のあと」なんかは、やってみて思ったよね。これ、こんなに反応がいいんだって。

じろう:うん。

長谷川:思っていたイメージを、超えてきた感じはありましたね。

●WOWOW放送で「一個、夢が叶った」

――オーディオコメンタリーでも仰っていましたが、東野さん以外にも、いろいろな方が見に来てくれていたんですよね?

じろう:柄本佑さんが「お尻のコント」の時の、「長谷川さんのバーテンの所作がすごくよかった」って(笑)。

長谷川:ありがたいですね。そうやって見てくれている方が1人でもいるなら、頑張った甲斐がありますからね(笑)。

じろう:あと、僕が1本目の洋食屋のやつで、米をよそう動きがあるんですけど、佑さんはあそこにジャーがあると思っていてくれていました。ジャー、ないですけど(笑)。「ジャー、あそこにあったんですね」みたいな。何もないのに(笑)。たぶん、動きでものごとを深く見ているんだと思います(笑)。

長谷川:めちゃくちゃ見方が上手な人だから(笑)。見方がうまかったっていう話だよ(笑)。俺らじゃなくて、見るほうが上手だった(笑)。大根仁さんとかも見に来てくれて。大根さんもお尻のやつを見て「バカなことをやってるね。面白かったよ」って言ってくれました(笑)。きたろうさんも来てくれましたね。

じろう:きたろうさんも「すごく面白かったです」って言ってくれて。勝手に、お尻のコントには「ニューヨーク」ってタイトルを付けてくれて(笑)。

長谷川:「すごくいいよ」って言ってくれました。うれしかったですね。

――今回のライブは、WOWOWで初放送されましたが、その点はいかがですか?

じろう:うれしいですね。『シティボーイズ・ライブ』も、見に行けないやつはWOWOWで録画してくれたやつを、友達と回しっこして見たりしていたので、同じところで流してもらえるっていうのは…。ちょうど、東京に出てきて20年なので。確か、21歳になる年に出てきて。年齢的にも僕がシティボーイズさんを見ていたときって、シティボーイズさんが40ちょいくらいの時だったと思うんで。なんとなく、いい感じで、ついて行けてはいるのかなって。一個、夢が叶った的な感覚はありますね。

制作の牛山(晃一)さんが、3・4年くらい前からずっと、WOWOWさんの方に言ってはくれていて。毎年「今年いけるかも」「いや、ダメだった」というのが続いてて、今年も話を聞いたときは「まだダメだろうな」と思っていたんですけど、「決まったよ」と言われたので、ようやくWOWOWさんも「流していいかな」と思っていただけるところまで来たのかなって。

長谷川:ありがたいですね。今、じろうが言っていたみたいに、一個、称号をもらった感じはあると思うので。うまく言えないですけど…そっちの世界って言ったらおかしいですけど、ある種、ライブを見に来るお客様たちの中では、これは一個の勲章かなと僕は思っているので。お芝居を見られたりとか、コントを見られたり「シソンヌは聞いたことあるけど、まだ見に行くには…」って方が、これを見て「おお、なかなか面白そうなことやってんな」と思って劇場に来てくれるようになったらさらにうれしいです。これは一個の大きな出来事だと思っているんです。

■プロフィール
シソンヌ
じろう(1978年7月14日生まれ。青森県弘前市出身。NSC東京校11期生)と長谷川忍(1978年8月6日生まれ。静岡県浜松市出身。NSC東京校11期生)によるお笑いコンビ。吉本興業所属。作りこまれたコントを得意とする。2006年4月に結成し、2009年・2013年に「キングオブコント」準決勝進出。2014年に悲願の優勝を果たす。2013年より単独ライブ「シソンヌライブ」シリーズを毎年開催しているほか、2015年には広島ホームテレビで初の冠レギュラー番組となった『ぶちぶちシソンヌ』がスタート。NHK『LIFE!~人生に捧げるコント~』などにも出演。役者業も評価を得ており、じろうは『いだてん~東京オリムピック噺』『俺のスカート、どこ行った?』など、長谷川は『凪のお暇』『ブラックペアン』などに出演。『今日から俺は!!』にはコンビそろって教師役で出演した。

提供元の記事

提供:

マイナビニュース

この記事のキーワード