岩本沙弓の”裏読み”世界診断 (4) 『国債暴落の危機管理計画』に思う、「何を今さら? なぜ今さら?」
最近のメディアで話題になったことの一つに、三菱東京UFJ銀行が作ったという、日本国債の暴落に備えた「危機管理計画」があります。
国内外の金融機関に在籍していた者として、まずこの話題を目にした際の最初のリアクションは「え?」という感じです。
どこの銀行とて、誰に言われなくても危機管理計画などは当然しているものです。
国債にしても為替にしても、こうした相場モノに手を出した瞬間から危機管理はされており、危機管理がされてなければ手が出せるわけがない、と言ってもいいでしょう。
市場取引をする大前提として、相場に参入するということは、価格がいくら動けばいくら儲かる、いくら損をするというのを考えた上でのことですから、期待する収益に伴うリスクを考えずに、つまり危機管理なしで取引するなど、まずありえません―。
これはディーラー目線での話。
特に海外の金融機関では顕著ですが、いくらまでポジション(持ち高)を持ってよいのか。
そして儲かる分にはよいにしても、1日単位ではいくら損をしてよいのか、1週間ではいくら、1か月ではいくらまで、とディーラー1人1人に細かく損失の許容額までもが規定されています。