くらし情報『岩本沙弓の”裏読み”世界診断 (8) 経常収支の「赤字への転落」は心配無用。ただし「円安」には要注意(前編)』

岩本沙弓の”裏読み”世界診断 (8) 経常収支の「赤字への転落」は心配無用。ただし「円安」には要注意(前編)

岩本沙弓の”裏読み”世界診断 (8) 経常収支の「赤字への転落」は心配無用。ただし「円安」には要注意(前編)
2月に発表となった財務省による2011年の国際収支速報では、海外とのモノやサービスの取引状況を示す経常収支の黒字額が前年比43.6%減の9兆6289億円となりました。

その主な理由としては2011年の貿易収支が赤字に転じたことがあげられ、経常収支の黒字自体が10兆円の水準を割ったのは1996年以来15年ぶりとなり、またもや日本経済の先行きを悲観する取り上げ方が多かったように思います。

しかし、第3回でも触れた通り、2011年の貿易収支の赤字転落は極めて特殊な要因からでした。

それらが2012年以降にも通じる恒常的な因子にはなりえず、貿易赤字がこのまま定着するとは考えにくいのです。

したがって、そこからさらに日本の経常収支全体の赤字転落にまで話が進むのはやや話が乱暴すぎるように思われます。

日本が貿易収支で黒字を稼いだ時代は今となってはもう昔話です。

現在日本の経常収支の内訳の中で、大幅な黒字を稼いでいるのは貿易収支よりも、「所得収支」になります。

月ベースの貿易収支はかなりブレがあるので、貿易収支と所得収支は毎月何倍の差があると定義するつもりはありませんが、例えば最新の単月のデータを見ると2012年2月の経常収支は黒字の1兆1778億円でした。

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