奥様はコマガール (47) 口が達者な夫はマイナスイメージのもと?
チーは「口喧嘩に訴えるのはずるい! 絶対に勝てないもん! 」と、まるで男が女に対して口にするような台詞をよくこぼしている。
普通、女は「男が暴力をふるうのはずるい」だろう。
これまでの僕はそれで問題ないと思っていた。
夫婦で口喧嘩をしても高確率で勝てるなら、いくらでも勝負を受けて立ってやる。
悪いが、チー相手の口喧嘩ではまったく負ける気がしない。
黒を白に変えるぐらいの自信がある。
ふふふ。
我ながら子供だ。
ところが、最近になって思わぬ弊害に気がついた。
男女の口喧嘩でいつも男が勝利してしまうと、その男に対する周囲のイメージが著しく悪くなってしまうということだ。
このカラクリは以下の通りである。
たとえばチーが、会社の給湯室で昨夜の夫婦喧嘩の愚痴をこぼしたとする。
「昨日、夫と口喧嘩したんだけど、夫は口が達者だから言い負かされたんだよね」。
すると、同僚のA子は眉間に十円玉が挟まるぐらいの皺を寄せることになっており、「えー、チーちゃんの旦那さんって口が達者なのー? 男でそういうのって、なんかイヤじゃなーい? 」と疑問を投げかけることにもなっている。
さらに、そこに2人の上司である40代のお局さんもやってくることになっており、給湯室でコーヒーを沸かしながら「男っていうのはさー、黙ってドシっと構えているのが一番よねえ」