読む鉄道、観る鉄道 (10) 『狙った恋の落とし方。』 - 中国で”北海道ブーム”起こした婚活映画
もう鉄道は出てこないかな……、と思ったら、もうひとつあった。
上映開始から1時間37分頃。
釧網本線の川湯温泉駅付近の踏切だ。
交差する道路は北海道道52号「屈斜路摩周湖畔線」。
雨の中でクルマは停まり、ステンレス車体のディーゼルカーが通り過ぎる。
めったに列車が来ない踏切で停められた3人。
なかなか前に進めない恋を暗示しているようだ。
鉄道の場面はこれだけ。
しかし、それだけに観客の印象は深いようで、北浜駅は絶好の観光スポットになっている。
筆者が北浜駅を訪れた時は2009年の2月。
映画公開から1年も経っていたけれど、「流氷ノロッコ号」は中国人観光客でにぎわっていた。
とくに海を眺める展望台が観光客のお気に入りのようで、筆者は何回も記念写真のシャッターを頼まれた。
北浜駅の駅舎の壁は、昔から旅行者たちによってきっぷや定期券がぎっしりと貼られている。
その中に映画スタッフの記念写真も飾られていた。
他のロケ地は能取岬、屈斜路湖、阿寒湖など。
撮影に使われたホテルは例年の何倍もの中国人観光客が訪れ、ロケに使われた居酒屋は中国語メニューを置くまでになっているらしい。