”金融犯罪”撲滅最前線! 再び増加する『振り込め詐欺』阻止の取組みを聞く
する傾向もあるという。
今回は、『振り込め詐欺』撲滅の最前線で対策を行っている、警察庁 犯罪抑止対策室 振込詐欺対策室 警視の井手孝志氏に、犯罪の最近の動向と、その阻止のための取組みについてインタビューした。
――まず、『振り込め詐欺』についての、これまでの動向について、教えてください。
2003年ぐらいから、特に女性の高齢者を狙って、息子を思いやる気持ちを利用して、高額のお金を騙し取る「オレオレ詐欺」による被害が社会問題化し、警察と金融機関が官民一体となって、2004年ぐらいからこれを阻止・検挙するための対策を行ってきました。
その後、国民運動的な対策をとってきた結果、一旦は収束するような状況になり、犯罪の発生自体も少なくなって被害額のほうも一番ひどい時期に比べると、かなり少なくなって対策の効果があがったんですね。
しかし、一定の効果があがったために、ちょっと油断してしまった感がありまして、社会的にも、「私は騙されませんよ」「自分の息子の声は聞き分けができますよ」といった、自分に対する過信のようなものがでてきたんです。犯罪者たちはそこを突くような形で、2009年には一旦95億円まで減少した被害額が、2011年には127億円という高額の被害となってしまいました。