経済キャスター・鈴木ともみが惚れた、”珠玉”の一冊 (21) 『円高悪玉論』でトクをするのは? 岩本沙弓氏が語る”世界経済の真実”(前編)
「一般に信じられている説、ベストセラーの経済書にある説が正しいとは限らない」ということや、「データの中にこそ真の答えがある」ということを教えていただいたのです。
鈴木 : どうしても、日本の債務対GDP比が220%近いとか、借金時計が1000兆円を超えたなどという情報が入ってくると、不安と焦りが募ってきますね。
岩本 : もちろん、無駄な借金はすべきでないですし、中長期的な収入と支出のバランスを取ることは必要です。
意味のない為替介入により、負債を増やすこともよしとすべきではないでしょう。
ただ、経済学的に不適当な数字を基に、すぐに日本破綻論を掲げるのはとてもナンセンスなことだと思うのです。
そもそも、基本中の基本の考え方として、「海外からの借金で成立している国」と、「自国内で収支を賄えている国」とでは、話は180度変わってきます。
債務国でなければデフォルトは起きないのです。
鈴木 : 岩本さんは、外為ディーラー業務の第一線にいらして、まさに現場の感覚を知ってらっしゃいます。
マスメディアを通して私たちに伝わる情報に、やはり違和感を覚えるものですか?岩本 : 今は現場から離れているわけですが、いざ離れてみると、現場にいる頃には当たり前とされていたことが、市場取引の世界では全く別の解釈をされていることに驚きます。