経済キャスター・鈴木ともみが惚れた、”珠玉”の一冊 (21) 『円高悪玉論』でトクをするのは? 岩本沙弓氏が語る”世界経済の真実”(前編)
『円高悪玉論』もそのうちのひとつです。
実際、日本が輸出大国なのかどうかを調べていけば、正しい結果が導き出されるはずなのです。
鈴木 : 数で言えば少数の大手輸出企業=国際優良企業ですが、「円高に困っている」という声は大きく伝わってきます。
例えば新聞などでよく目にする「1円円高が進むと、数百億円、あるいは数千億円の損失が出る」といった試算です。
岩本 : 円高になると必ず登場する話題ですね。
これも正確な数字と事実を知る必要があります。
鈴木 : 『円高悪玉論』については否定できるデータが次々と出てきますね。なのに、当たり前のごとく根づいていている。
まるで『円高=悪』という公式を浸透させたい勢力が存在するかのようですが…。
岩本 : 実際、大手輸出企業のなかには円高を理由に下請けの中・小企業に対して支払うべき額から消費税を免除してもらうケースも出てきているようです。
つまり、中・小企業側は消費税分の損失を被ることになります。
一方、親会社である大手輸出企業側は海外の取引先に対してもともと消費税を払う必要はないわけですから、下請けの中・小企業に払う消費税分だけ得することになる。