岩本沙弓の”裏読み”世界診断 (20) 日銀が金融緩和しても給料上がらず…”あり余る資金”どう民間に流すかが問題
あるいは景気が回復したでしょうか。
一時期、海外が住宅バブルに沸いた時は日本の株価も値上がりし、一部の輸出大企業などは好業績となったことがありました。
しかし、この間一般国民の給与水準は上昇しておらず、非正規労働や派遣切りの問題などが続いていたかと思います。
もし仮に、日銀の資金供給がダイレクトに民間に流れ込んでいるのだとすれば、世界に先駆けて大量の資金供給を実施したのですから、世界のトップに躍り出るような好景気を日本は謳歌しなければおかしい。
しかし、実際にはそんなことなど全くなかったというのは皆さんの実体験から言えることかと思います。
つまり、日銀が緩和しただけでは、機能不全を起こしている日本経済の回復には至らないのです。
日銀が緩和をしてもなぜ日本の景気は回復しなかったのか、なぜ我々の生活は楽にならなかったのか。
それは(2)の部分が滞ってしまっているためです。
本来であれば、日銀が供給した資金は金融機関からの貸出しなどを通じて企業などに流れることになります。
企業はその資金で設備投資を行えば、例えば工場を立てる建設業が潤います。
新しい工場で働いてくれる人を雇ってくれれば、雇用者へ給与が支払われます。