山田隆道の幸せになれる結婚 (6) 妻の「いきなり不機嫌現象」に効果的な対処法
しかしこういうとき、男は狼狽(うろた)えてはいけないのだ。
僕も以前は妻が「いきなり不機嫌現象」を発生させたとき、それをなんとか回復させたくて、あの手この手の策を練り、解決に励んだものだ。
妻の機嫌をとろうと饒舌になったり、積極的に家事を手伝ったり、とにかく自分から何かを仕掛けたものだが、そのほとんどが効果を発揮することはなく、かえって妻に鬱陶(うっとう)しがられるという泥沼にはまっていったものだ。
そんな僕の対応が大きく変わったのは、ある日の出来事がきっかけだった。
その日、妻が通算何度目かの「いきなり不機嫌現象」を発生させ、しかも後者の「理由は特になしパターン」だったため、僕はどうしていいかわからず、ただ困惑するしかなかった。
ところが翌朝になると、妻の不機嫌は意外なことであっさり完治したのだ。
完治の理由は、昨夜の妻がぐっすり眠れたということである。正直、これには拍子抜けしたものの、冷静に考えると膝を打つものがあった。
子供のころ、よく祖母が「睡眠は万病に効く」と言っていたが、まさにその通りだ。
医学が発達していない時代を生きた人間にとって、快眠とは己の自然治癒能力を高める唯一の方法であり、それは精神面においても効果的だったのだろう。