ではなぜ、名古屋ばかりがこうも言われるのか?それは名古屋が、日本では東京・大阪に続く「第3の大都市」に位置づけられている割に、仙台や博多といった(名古屋より規模が小さい)地方都市に比べて洗練度が低いという背景があるためと思われる。
「こんな大都市なのに……」。
いい意味でおおらか、悪い意味でルーズ。
まさに昔から言い古されてきた言葉、「大いなる田舎・名古屋」を実証するひとつの現象が、名古屋時間なのだ。
しかし、もうヒトコト言わせてほしい。
製造業が多い名古屋(というより愛知)の労働環境は、名古屋時間のルーズさとは真逆の道を突っ走っている。
言うまでもなくトヨタグループおよびその関連企業のことだ。
「カンバン方式」「ジャストインタイム」といったトヨタが生み出した生産方式は、いわば合理化の塊。
そこには名古屋時間などという甘~い時間管理など存在しない。
次々とラインを流れてくる部品を一心に組み立てる社員たち。
そこには常に時間と効率との戦いがある。
しかも単純作業のストレスはハンパない。
名古屋時間が存在するのは、ある意味その反動のしるしかもしれないとさえ思えるのだ。