「ひたすら浮気する彼を待つ」百人一首に見る平安時代の恋愛
アプローチする女性を絞り込んだ男性は、まず相手に歌を送ります。
男性側は女性からの返事を期待してはいけません。
何度も何度も歌を送り、ようやく女性側から手紙がもらえれば思いが伝わったという証し。
そこから男性側が女性の家で一夜を過ごすことになりますが、なんとそこで初めてお互いに顔を合わせます。
ここまでは男性側が女性にひたすらアタックしますが、この一夜から立場が逆転するとされています。
女性はひたすら、男性が通ってくるのを待つことになるでしょう。
貴族の男性は、複数の女性と関係を持つ人も多かったそうです。
ですから、浮気を黙認せざるを得なくなるのです。
■百人一首は、男性の浮気症をテーマにした歌も多い百人一首にて詠まれている恋愛とは、心変わりを嘆くもの、待ち続けている切なさを歌ったものが非常に多いとされています。
特に女性の歌人が作ったものは男性の浮気を嘆く和歌が多く、昔も今も男性の浮気に悩まされている女性が多かったということがわかります。例えば、歌人・右近によるこの和歌。
「忘らるる身をば思わず誓ひして人の命の惜しくもあるかな」。
現代語訳をすると「あなたに忘れられてしまう、そんな私の身については何も思わない。