「ひたすら浮気する彼を待つ」百人一首に見る平安時代の恋愛
だけど、『心変わりしない』と誓ったあなたの命が、神罰によって失われてしまうかもしれない。
それが、惜しく思われてしかたありません」という内容です(解釈には諸説あり)。
つまり、「あなたが他の女性のところに行くのは仕方がないと諦めているけれど、自分で『お前だけ』と神に誓っていたくせに。
いつか天から罰が下るかもしれませんね」と、皮肉をたっぷりと込めた和歌を詠んでいるのです。
これ以外にも、儀同三司母による「忘れじの行く末まではかたければ今日を限りの命ともがな」という和歌はインパクト大。
現代語訳すると「『いつまでもお前のことを忘れないよ』とあなたは言うけれど、いつその気持ちが変わるのか不安で仕方がない。
こうしてあなたが愛してくれる今、このまま死んでしまいたい」という意味になります。
平安の恋愛といえばのんびりゆったりしたイメージがありますが、女性の愛にかける激しい気持ちはいつの時代も変わりがないようです。
ちなみに、逢瀬(おうせ)を交わした次の日の朝に、相手に和歌を送るのは平安時代の恋愛マナーのひとつ。
現代風にいうと、お泊まりをして帰った次の日の朝にメールを送るようなもの。