【エンタメCOBS】もしも科学シリーズ(14)もしも反物質を拾ったら
映画「天使と悪魔」では、反物質を用いた爆弾テロが描かれている。実現不能とする意見も多いが、大変興味深い物体だ。
もし反物質入りの容器を拾ったらどうするか?好奇心に駆られても持ち帰りはお勧めできない。計り知れないエネルギーとガンマ線の恐怖を手にしたことに気づいたら、正気ではいられないだろう。
■物質に恋する反物質
物質を分解すると元素となり、さらに元素を分解すると電子・陽子・中性子に大別される。これらは粒子と呼ばれ、どの元素にも共通の材料となる。水素と酸素はまったく異なる特徴を持つが、違いは粒子の数だけで、同じ材料から作られているのだ。
おもしろいことに、粒子と真逆の性質を持つ反粒子(陽電子・反陽子・反中性子)があり、これを材料にすると、物質とは反対の性質の元素ができ上がる。
水素に対して反水素、ヘリウムなら反ヘリウムといった具合だ。これらを総じて反物質と呼ぶ。
反対の性質と聞くと酸とアルカリをイメージするが、性質を打ち消しあって違う物質に変わる中和とは異なり、物質に触れた反物質は、消滅し質量がなくなる。質量保存の法則、つまり燃焼しても蒸発してもなくなるわけではないと教わったのだが、反物質はこの法則を踏み越える。