【エンタメCOBS】もしも科学シリーズ(15)もしも宇宙が死んだら
宇宙は膨張し続けている。それもスピードを上げながら。これは加速度的な自殺に等しい。
宇宙の最後はどうなるのか?収縮して居場所がなくなるのも恐ろしいが、膨張し続ければさらに惨めな死にざまとなる。光もなく熱もなく、再生の見込みもなく、ただ存在するだけの空間となるからだ。
■絶対零度の世界
宇宙はおよそ137億年前に誕生した。宇宙のすべてが集められたごく一点が、爆発的に膨張したことからビッグバンと呼ばれている。あまりにも高密度であまりにも高温だったため、宇宙は素粒子のスープのような状態で、光が通り抜けるすき間さえなかったと考えられている。
その後も宇宙は広がり、38万年後には多くの元素や物質が形成された。空間にも余裕が生まれ、光が抜けるようになったことから「宇宙の晴れ上がり」と呼ばれている。膨張はさらに続き、4億年後には恒星が生まれ銀河も誕生する。膨張とともに成長する様子は「インフレーション理論」と呼ばれている。
高密度から低密度へ、素粒子から物質へ。まるでブラックホールに吸い込まれる物体を逆再生しているようだ。ただし、「ブラックホールの嘔吐(おうと)」と呼ぶのはやめておこう。情けない気分になる。