――CGソフトはその当時色んな会社が先行していませんでしたか?
成島さんそうです。いろいろなソフトをさまざまな会社が制作していました。ですので、今からその厳しい競争に飛び込んでも仕方がないだろうと思いました。そこで、アニメ制作に目をつけたんです。アニメ制作は本当に手作業の世界で、発注元から下請けさんまで、色んな人が、さまざまなパートを手作業で担当しています。これをデジタル化できないかと思ったんです。
――アニメ制作は、職人というか家内制手工業の世界みたいなところがあるようですね。
成島さんはい、アニメ制作用の『RETAS!』(レタスと読む:現在は『RETAS STUDIO』)というソフトを開発しました。
もともと弊社のセルシスという名前も、「セル」アニメを「シス」テムで作るというところから付けたんです。
――そうなんですか。レタスは現在ではずいぶん普及していますね。
成島さん最初のバージョンから約20年たちましたが、改良を続けて、今ではアニメ制作現場のほぼすべての場所で使用されていると思いますよ。――レタスの成功を見て、漫画制作ソフト『ComicStudio』の開発を始めたのですか?
成島さんレタスはうまく現場の方々に導入していただけたのですが、アニメ制作ソフトというのは、アニメの制作現場が増えないと売り上げが伸びないですよね。