という、天然の稚魚を獲ってきて、それを池で大きくして出荷するものです。ですから、しらすうなぎが獲れないと養殖もできないわけです。うなぎの高騰は、この天然のしらすうなぎの不漁によって生じています。
■うなぎの完全養殖への道
――うなぎの完全養殖はいつ可能になるんでしょうか。
塚本教授実験室の中では、親を成熟させて卵を獲り、その卵から仔魚、しらすうなぎまで育てることはできます。さらに、この人工のしらすうなぎを養殖して、うなぎの成魚を作り、そこから卵を獲って次の代のしらすうなぎを……という風に、生活環を人工環境下で回すことはできるんです。
――できるんですね!
塚本教授はい。ただ、まだこのサイクルが商業ベースに乗らないんです。
大雑把な計算ですが、原価ベースでも今の人工しらすうなぎ1匹は10万円ぐらいになっちゃう(笑)。今年のしらすうなぎは異常高価で、最高1匹500円くらいと聞きました。普通なら1匹100円以下だから、今年のうなぎの価格は例年の5倍以上だったわけですよ。この最高値としても、人工しらすうなぎの場合は200分の1にまで、それが通常年の場合は桁を3つも落とさないと実用化のメドが立たないんです。