――なるほど。どういった点が難しいのでしょうか。
塚本教授2点あります。1つは餌です。仔魚にどんな餌を与えるのが理想か、そのうまい解答がまだ見つかっていません。2つ目は卵質です。100回採卵しても数回しか質の良い卵が獲れないんですね。うなぎの親は1回に100万粒も産卵するので、現在のところ100回に数回でも実験的に仔魚を飼育するのはなんとかなっていますが、まだまだ脆い技術です。
これを安定したものにしなければいけないんですよ。
――技術の開発にはかなりの時間を要するのでしょうか?
塚本教授もしかすると、ある日ひょっと素晴らしいアイディアが出てきて、3年くらいで完全養殖の技術が完成するかもしれないし、また10年経っても低迷しているかもしれません。こればっかりは予想できませんね(笑)。でも、天然の資源が完全に枯渇する前に、1日も早く人工しらすうなぎを実用化する必要があることは確かです。人工しらすうなぎを養殖に使い、今天然資源へかかっている高い漁獲圧を取り除いて、もとの豊かなうなぎの資源状態に戻してやりたいものです。
世界の最先端の塚本教授の研究室でも、うなぎの研究は未だ途上。最近では、なぜだかわかりませんがモスクワで「うなぎの蒲焼」