最後は産卵場のある海の環境の大きな変化がウナギの産卵地点や輸送経路を変化させたため、日本にやって来るしらすうなぎが減った可能性があります。
――うなぎの価格が2012年にはかつてないほど高騰しました。江戸時代は庶民の味だった蒲焼がすっかり高級料理ですが……。
塚本教授そうですね。今までのようにスーパーに山積みされたうなぎの蒲焼きを会社の帰りに買ってきて、電子レンジで温めて手軽に食べるというわけにはいかなくなりましたね。この先、高級料理屋でも食べられなくなると困るので、今のうちに資源を護る努力をしなくてはなりません。
――もっと養殖すればいいじゃないかと、よく知らない人のご意見があるんですが……(笑)。
塚本教授それがそう簡単じゃないので苦労しているんですよ(笑)。
■うなぎは卵から養殖しているわけじゃない!
誤解している人が多いのですが、今行われているうなぎの養殖というのは、実はまだ「完全養殖」ではありません。つまり、タイやヒラメなど一般の魚の養殖業のように、親魚から卵をとって、その卵を孵し、育てて出荷、という風にはできていないのです。うなぎ養殖の場合は、前述の「しらすうなぎ」