――そうなると、海はほとんど深海と言ってもいいぐらいですね。
猿渡博士そういうことですね。
■「チョウチンアンコウ」の面白い話
――猿渡先生のご専門で大きな発見があったということですが?
猿渡博士「ミツクリエナガチョウチンアンコウ」が網にかかりましてね。それが素晴らく状態のいいもので、そこで大きな発見がありました。
――どんなことでしょうか。
猿渡博士チョウチンアンコウの仲間は、メスの個体が大きくて、オスの個体が極端に小さいというのをご存じですか?
――はい。聞いたことがあります。交尾のためにメスの体に寄生して、そのうちメスに吸収されるという話を聞いたことがあります。
猿渡博士ところがですね、私が発見したこのミツクリエナガチョウチンアンコウですが、メスで体長が316.5ミリメートルもある大きなものなんですが、体表に小さなオスが8匹も寄生していたんです。
――えっ。そんなに数が付くものなんですか?
猿渡博士しかもですね、メスに吸収されるといった状態ではなかったんです。「腹鰭」(はらびれ)など、オスの鰭(ひれ)もきちんと確認できましたし。メスの体内に同化されるような様子も見られませんでした。