猿渡博士ええ。例えばトロール漁船に網を出してもらって、何かかからなければおしまいですし。トロール漁船の網というのは大体500メートルぐらいの深海までをさらうんですが、それより深いところにすむ生き物のことは調べるのが困難です。
――その場合はどうするんでしょうか?
猿渡博士やはり調査船や潜水艇の力を借りないといけません。日本には『淡青丸』、『白鳳丸』といった学術研究船のほかに、『しんかい6500』という非常に優秀な潜水艇があります。
――日本の深海探査技術というのは、世界的に見ても優秀なのですか?
猿渡博士優秀だと思います。技術開発も熱心ですし、また魚類だけではなく、無脊椎(せきつい)動物の研究、鉱物資源など、深海にあるさまざまなもの、現象を研究する科学者がたくさんいますので。
――研究用の深海探査機材などはみんなで使用しているのですか?
猿渡博士そうですね。
こういう研究をしたいのでこの期間研究船を使用したいといった「プロポーザル」を出します。審査でダメだなあと思われたら、そこではねられちゃうんで(笑)、そうなるとガッカリですね。
■生きたまま地上に持って来れるか!?
――深海生物の研究で困難なことは何でしょうか?
猿渡博士深海の生き物を生かしたまま陸上まで持ってくることですね。