また、調べてみると、明らかにメスから栄養をもらっていることもわかりました。
――では、私が聞いたような話は誤りなんでしょうか?
猿渡博士もっと詳しく調べる必要があると思います。しかも、このミツクリエナガチョウチンアンコウは面白いことに二系統の発光器官を持っているんです。
――チョウチンアンコウの、あのちょうちんの部分ですよね。
猿渡博士そうです。あのサオの先の部分が光るのは(共生関係にある)発光バクテリアのおかげなんです。そのほかに、背鰭(せびれ)の前にプラプラした肉の塊みたいな部分があって、そこに発光液をためているんですよ。この発光液は、エビなど食べたエサから吸収するんです。
普通は、このどちらか一方の種類の発光器しか持っていないんですが、ミツクリエナガチョウチンアンコウは2種類持っているんです。
――サオの方は、エサになる生き物をひきつけるのに使うのでわかります。ためた発光液は何に使うんですか?
猿渡博士おそらく危険に遭った時に、ぱっとまいて目くらましに使うんでしょう。網にかかった時も青白い液体が出ていたので、最初はオスの精液かなと思ったんですが違っていました。網にかかった際に発光液を分泌したのだと思います。