深くなるにつれて水温は下がります。水温が急激に下がる層があって、それを超えるとさらに冷えていきます。また、深度10メートルで1気圧、平均水深3,800メートルなら381気圧というとてつもない水圧のかかった世界で生きている生き物たちです。これを上にそのままあげたりすると、大抵の生き物は死んでしまいます。
――ダイバーなどもやられますね。
猿渡博士目が飛び出たり、浮袋が口から出たりとか、そういうわかりやすい症状もあれば、ヒトの潜水病のように毛細血管の先の方で窒素ガスが気化して肝臓など重要な臓器を破壊したりします。減圧症を防いで、深海生物を陸上にまで持ってこられたら大きな成果が得られるでしょう。――可能なんでしょうか?
猿渡博士なんとか実現しようとしています。
スラープガン(吸引式深海生物採集器)という水鉄砲とは逆に水と一緒に生物を吸い込む装置があるんですが、それで生物を水ごと捕獲して、それを加圧装置つきの設備に入れたりするわけです。先ほどの「しんかい6500」にそのような装置を付けた試みも行われています。
――それは楽しみですね。
猿渡博士ただ、まだ入れることのできるのが小さな生物だけのようなので、そこが残念ですが。