平安の「デキる女」小野小町センパイに学ぶ、自分を貫く生き方【能楽処方箋】
所属するコミュニティで求められることや場の空気に応えようとするあまり、心をすり減らし、「自分らしく生きることができていない」という苦しみにつながっていくのかもしれません。
ただ、「自分らしさ」というのは形のない不確かなものです。目に見えぬ「自分らしさ」にこだわりすぎては、自らを縛りつけているのと同じこと。
人と交わるなかで変容していく部分を柔らかく受け止め、変わらない部分を見つけたらそれを大切に抱えながら、しなやかに生きていきたいものですね。
願わくば小町のように
能楽に表現される小野小町のように、姿・立場・環境が変わってもぶれずに生きていくということは難しいかもしれません。
しかし、室町時代からこのような女性像が描かれていたというのは新鮮な驚きがあります。
自分のブレが不安になったときは、小町センパイの姿を思い出し、強く歩んでいきましょう!
■この方にお話を伺いました
金子直樹さん能楽評論家。高校のときに能「阿漕」を観て、能楽が持つテーマの現代人に通じる普遍的情念に感動し、能楽の研究・評論を行う。国立能楽堂開場以来のプログラム執筆や、「能楽タイムズ」「花もよ」の評論執筆をはじめ、解説、評論等で活躍。