■書道における「永」の役割
書道において「永」は基本中の基本の文字。
「永字八法*1」という言葉があるように、文字を書くことにおいて必要な8種類の技法がすべて、この1文字に含まれています。
永遠、永久、永続、未来永劫など、現代では”時間がながい”という意味を表す「永」という文字ですが、歴史を振り返ると別の変わった意味が見えてきます。
■「永」の歴史的背景
王羲之(おうぎし)は、書道の"美の基準”をつくった人。
文字を見た際に"美しい"と思う心、余白などの空間構成や点や角のベクトルの方向などは、王羲之が確立したといっても過言ではありません。
書道のお手本などに王羲之の書が使用されるのは、これが所以です。
永和九年(353年)に中国の書聖(しょせい)として知られる王羲之が書いた、蘭亭序(らんていじょ)という書があります。書道史上最も有名な書作品で、その冒頭の1文字はなんと「永」から始まります。
書道において基本中の基本を表しながら、歴史的書の始まりの1文字として書かれている漢字。意外にも何かを始めたいときに書くと良いとされる文字なのです。
■何かを新しく始めるとき、「永」を書いてみよう
前述の通り、現代では"時間がながい”という印象が強いこの漢字ですが「何かを始める」