『みんなで一緒に暮らしたら』ステファン・ロブラン監督インタビュー
■平均年齢74歳という俳優陣の中に、若手であるダニエル・ブリュールを世話役として起用した点については何か意図はあるのでしょうか?当初なかなか製作資金が集まらず、何度も暗礁に乗り上げた頃に、ドイツの熱心な出資者が名乗り出てくれて、そのおかげで企画がうまく進み始めました。そこで、博士論文を準備中の若い学生でお世話係でもあるディルク役を、ドイツ人という設定に書き換えました。
そしてすぐにこの役にうってつけのダニエル・ブリュールが見つかったのです。
■この作品を通して世の中に伝えたいメッセージはありますか?映画では普段あまり語られず、多くの人の心の琴線に触れるもの、老年の俳優たちのアンサンブルが楽しくて美しい映画を撮りたいと最初から思っていました。
私はまず老年の人たちの依存についての問題から始めることにしました。遠近を問わず多くの人が抱えている問題です。そして我々の世の中の高齢化は次第に迫りつつあり、ベビーブームの人たちも定年を迎える今日で、高齢者がまた一段と増えるのです。そしてそんな彼らは、何か対策を発明して、彼らの老後をより人間的にするために計画を練るのです。
私は子供たちが親の老後の道を決めてしまうのは残念だと思います。老人たちがたとえ、いろいろ問題があるとしても、彼らにだって自由は残されていますから。尊厳だってあるのです。今こそ、我々は老後の問題を考えて、それに対して方法を生み出し、より人間的でより応用の利く解決策をそれぞれが生み出してほしいと思っています。