連載記事:はじめてのPTA
PTA改革がぶち当たる「非加入家庭の子どもはどう扱うの?」問題【はじめてのPTA 第3回】
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連載
第1回目、
第2回目では、本来は任意加入であるはずのPTAが現状なぜ自動強制加入になってしまっているかということや、それによって起きているさまざまな問題点について、お話ししてきました。
第2回目でも少しふれましたが、なぜいまPTAで自動強制加入が可能になっているのかというと、
学校の名簿が、保護者に無断でPTAでも使われているからです。そのようなやり方をしている場合、学校はすでに各自治体の個人情報保護条例に違反していますし、また改正個人情報保護法が施行される今月末(2017年5月30日)以降は、名簿を受け取るPTAの側も、法律上の義務違反を犯すことになってしまいます。
「違法なPTAなんて、いやだな…」と思う方が多いかと思いますが、でもこういった状況は、少しずつではありますが、変わりつつあります。
PTAがちゃんと入会届を配布して保護者の加入意思を確認し、また会員となる保護者の個人情報を自ら取得するケースが出てきているのです。
■入会届け完備の“合法PTA”がじわじわ増殖中
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筆者がこれまでに聞いている「PTAが入会届を配るようになった経緯」は、いろいろあるのですが、わりあいよく聞くのは、こんなパターンです。
▼PTA合法化 パターン1
・退会者、あるいは非加入者が現れたことを機に、入会届が整備される
・退会者・非加入者、あるいは会員から、入会届がないことや個人情報の取扱いに関する不備を指摘されて、入会届が整備される
このパターン1はどちらも、実質的には、
校長先生の判断であることが多い印象です。あとは、こんなパターンもあります。
▼PTA合法化 パターン2
・会員がPTA総会で入会届の整備を要望することによって、実現する
・PTA役員(会長や副会長等)の発案・主導で、入会届が整備される
こちらは主に
保護者の判断によって入会届の整備が進むパターンですが、前者(校長主導)のパターンと比較すると、どちらかというと少ない印象があります。というのは、役員がいくら入会届を整備しようとしても、もしも校長先生が反対すれば決して実現しない、というのが現実だからです。
なお、まれにではありますが、校長先生が整備を進めたいと思っても、
役員である保護者の反対によって入会届が実現しないというケースもあるようです。
ほかには、こんなケースもあります。
▼PTA合法化 パターン3
・P連(自治体ごとに作られる、PTAの連絡ネットワーク)や教育委員会の指導によって、入会届の整備が促される
このパターンは状況によって、校長先生の判断だったり、保護者側の判断だったりするようです。
■「非加入家庭の子どもはどう扱うの?」問題について
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さて、このように経緯はそれぞれながら、入会届を配るPTAが徐々に増えているわけですが、自動強制加入をやめようというときには必ず問題になる、あるポイントがあります。
それは、
「PTAに入らない」という家庭が出てきたときに、そのご家庭のお子さんに、全員に配るものをあげるかどうか、という問題です。たとえばよく話題になるのは、卒業式で配られる祝い品(記念品、コサージュ=胸につける花飾り、等)についてです。
こういったものは本来、非加入家庭のお子さんにも、配られるべきものです。
PTAというのはそもそも
「その学校に通う子ども全員」のためのことをする団体だからです。そうでなければ、学校施設を使用するという特権は受けられないでしょう。ところが、そのことがあまり理解されていないケースが見受けられます。