連載記事:人間関係に悩まない“うまい呼び方”
うまい呼び方が人間関係を変える!距離が縮まる呼び方で子供の心が育つ【人間関係に悩まない“うまい呼び方” 第2回】
■タイプ別・子どもの“うまい呼び方”は?
――子どもの“うまい呼び方”をタイプ別に教えていただけますか?
五百田さん:まずは、下の子が生まれて、上の子が赤ちゃん返りしたり、スネたり、自信をなくしているように見える時。この場合の“うまい呼び方”は、呼び方を定期的に更新することです。
例えば、カップルを想像してみてください。ユウコさん→ユウコちゃん→ユウコリン→リンリンなど時間や親密度とともに呼び方が変化していきますよね。これは、呼ばれる側にも、常に相手から注目されているという心理が働きます。
それは、子どもも同じ。役割呼びから名前呼び、あだ名呼び、さらにあだ名も定期的に変えると効果的です。呼び方を変えるだけで、「ママはあなたをいつも見ているよ」というサインを子どもに送ることができるはず。
まずは、お兄ちゃん・お姉ちゃん呼びを卒業することから始めてみましょう。
――逆に、上の子にしっかりしてほしい時はどうでしょう?
五百田さん:甘えん坊の上の子をしっかりさせたい時は、あえてお兄ちゃん・お姉ちゃんと役割呼びを強調するのがおすすめ。普段、名前やあだ名で呼んでいるママが、突然、役割呼びに切り替えれば、ママの気持ちの変化を子どもも敏感に察知します。
家庭内だけではなく、ママ友など第三者の前でも本人がいるところで役割呼びをすることがポイントです。
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――「お兄ちゃんなんだからしっかりして」と言葉にしていても、まったく成長を感じられない…なんて悩みをもつママもたくさんいると思いますが…。
五百田さん:そんな時に有効なのが、肩書き呼びです。「片付け隊長! そこのおもちゃを片付けていただけますか?」という具合に、肩書き呼びで格上げ+敬語で子どものやる気に火を付けましょう。
上の子を動かしたい時には、隊長! リーダー! キャプテン! など肩書き呼びが効果的。
特にレンジャーものが大好きな男の子には響くと思いますよ(笑)。
――なるほど。それは効果がありそうですね! 逆に親が子どもにベッタリになりすぎない“うまい呼び方”はありますか?
五百田さん:友人に娘さんのことを“さん付け”で呼ぶパパがいます。「◯◯さん、今度はこっちのおもちゃで遊びませんか?」なんてやりとりを見ていると、父と娘が自立した人間同士、ほどよい距離感で向き合っている感じがして、とても好感がもてます。
もしかしたら、娘さんは“さん付け”で呼ばれることで、パパにうまく甘えられない一面もあるかもしれませんが、大人と対等に扱われている感覚は、教育上、良い効果もあると思います。そして、何より娘への溺愛ぶりをコントロールするという意味で、パパにとっても効果があると思うんです。
“さん付け”は距離を遠ざける呼び方になりますが、この場合は、ほどよい距離感をキープする呼び方として有効といえます。
■シーン別・子どもの“うまい呼び方”は?
――子育てのさまざまなシーン別に“うまい呼び方”を教えてください。まずは、ほめる時はいかがでしょう?
五百田さん:前述の肩書き呼びが効果的だと思います。運動会で1位になったら「よっ、天才ランナー!」、「よっ、メダリスト!」という具合に、肩書きで呼びかけてみましょう。家族みんながそろったところで呼んであげれば効果大で、子どもはうれしさ倍増でしょう。
―― 叱る時は、どう呼ぶのがよいでしょうか?
五百田さん:叱る時は、やはり呼び捨てでしょうね。普段、ちゃん呼び、あだ名呼びしている母子であればなおさら。「◯◯ちゃん、お友だちのおもちゃとっちゃダメでしょう」では、ママが本気で怒っているとは思えませんよね。本気で叱って教えたい時は、母子の上下関係や距離感を明確にするためにも呼び捨てで呼びかけましょう。
――なぐさめてあげたい時はいかがでしょう?
五百田さん:アメリカのドラマのようなノリで「子猫ちゃん、どうしたの?」「こぐまちゃん、元気ないね?」と呼びかけてみるのはどうでしょう? さすがにそれは気恥ずかしいというママは“姫”や“王子”くらいなら呼べるのでは? いつもより甘く呼びかけて、距離をぐっと近づけ悩みを聞いてあげたり、抱きしめてあげたりすれば効果的だと思います。