連載記事:ラクに楽しくお金が貯まる「貯金簿」

「家計簿をつければお金が貯まる」はウソ!?【ラクに楽しくお金が貯まる「貯金簿」 第2回】

ラクに楽しくお金が貯まる「貯金簿」

ラクに楽しくお金が貯まる「貯金簿」

ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんは、「家計簿が苦手」「お金を使うのが大好き」「節約が苦手」。そんな畠中さんがたどり着いたお金の貯め方が「貯金簿」です。畠中さんの秘密兵器「貯金簿」とはどんな方…

ラクに楽しくお金が貯まる「貯金簿」

イラスト:なきりエーコ


「若い頃からお金に関心を持つ人が増えている一方で、『がんばって家計簿をつけているのに、お金がちっとも貯まらない』というご家庭も多いんです」と言うのは、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さん。

畠中さんは、「貯金を増やしたい人にとって、家計簿は必ずしも必要ではありません。もっと簡単に家計を把握できるツールが貯金簿です」といいます。「お金を貯めるのに、本当に、家計簿をつけなくて大丈夫なの?」 畠中さんにお話しを伺いながら、そんな疑問を検証していきます。

■「家計簿」と「貯金簿」の違いとは


ラクに楽しくお金を貯めている私の「貯金簿」

© Monet - stock.adobe.com


ところで、「家計簿」と「貯金簿」の一番大きな違いは、何でしょうか? 畠中さんは、こんなふうに教えてくれました。

「『家計簿』と、『貯金簿』の一番大きな違いは、貯金簿は、家計を俯瞰的(ふかんてき)に見ることができるツールという点です」

なるほど! と、筆者は思いました。家計簿は「今だけ」にフォーカスをしているという意味で「平面」な感じがします。一方、貯金簿は、「流れ」を見ることができるので、本棚に本が並んでいるようなイメージで、「立体的」な感じがします。貯金簿で見えるものは、家計簿だと把握が難しい「貯金の立体感」なんですね。

「貯金が適正に増えていれば、いまの家計管理の方法で大丈夫です。もし、年収に対し、貯金の割合が少ない、貯金が減ってしまっている、というのなら、家計簿と、特別支出一覧表(※)などを利用して、無駄を洗い出し、節約する必要がありそうです」(畠中さん)

※特別支出一覧表とは、毎月かかるわけではないものの、ほぼ毎年、あるいは一定期間ごとにかかる費用のこと。



■「家計簿をつければお金が貯まる」はウソ!?

ラクに楽しくお金を貯めている私の「貯金簿」

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貯金がきちんと増えていれば、家計管理の方法はいまのままで大丈夫! このシンプルな事実を導き出すのに、家計簿は不要というのは、目から鱗の発想でした。
でも、言われてみれば、たしかにそうだと思います。

実際のところ畠中さんはファイナンシャルプランナーとして家計診断を始めて27年になりますが、「家計簿をつけている人が、必ずしも貯金できているとは限らない」と、実感しているそうです。その原因は、「家計簿の生活費といった『支出』ばかりに気をとられ、『貯金の増減』は、あまり気にしていないからなんです」(畠中さん)

「目標貯金額が達成できていれば、家計簿は不要です。反対にいえば、家計簿を挫折するのは、『なぜ、家計簿をつけているのか?』という目的があいまいだから。その点、貯金簿は、『貯金』に焦点を定めたツールなので効果が出やすいんです」(畠中さん)

■「家計簿」の賢い利用方法とは

ラクに楽しくお金を貯めている私の「貯金簿」

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では、「家計簿をつける必要性が起こるとき」は、どんなときのでしょうか?

「貯金額が達成できていない場合は、その理由を洗い出すために家計簿が必要なこともあります」(畠中さん)。

たとえば、貯金がなかなかできない理由が、「夫婦ともに、何となく趣味にお金をかけすぎているから」と、感じている場合。

「お小遣いは夫婦で手取り月収の10%程度が適正だと私は考えているので、それ以上に自由に使っているお金があれば、見直しが必要かもしれません」(畠中さん)

同じように、食費の目安は、手取りの13%~16%程度。これを大きく超えているようであれば、外食やお総菜購入が多くないかチェックをしてみます。


このように、家計簿は、家計の中で「ちょっと使い過ぎているかも…?」と感じている費目の割合が実際にどうなっているのか? また、「どんなふうに使い過ぎているのか?」という具体的な内容を確認するために使うのが、賢い利用方法のようです

▼家計の適正割合の目安


<夫婦+乳幼児2名の場合>
ラクに楽しくお金を貯めている私の「貯金簿」

データ提供:畠中雅子さん(ウーマンエキサイト編集部作成)



■家計簿アプリのメリットとデメリット

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最近、よく見かける家計簿アプリは、どうなんでしょうか?

「家計簿のアプリはさまざまなものがあり、自動計算機能が便利ですよね。でも、やりくりに自信がない方には、『家計簿は手書き』をおすすめしています」と、畠中さん。

家計簿アプリは、現段階では「収入」と「すべての支出」の入力が必要なものがほとんどで、両者が合致しないと、その差額は何に使ったのかわからない「使途不明金」として表示されてしまうものも少なくないそう。その結果、「頑張ってつけていたとしても、結局、『お金を何に使っているのか?』が、よくわからない場合も多いんです」(畠中さん)

なるほど! そう考えると、まずは、「貯金簿」で自分の「貯金の状況」を把握する。もし、貯金の目標額が達成できていないようなら、手書き家計簿を使って、その原因を洗い出す。こんな流れが、効果的な家計管理方法だと言えそうです。


【ラクにお金が貯められるポイント】
1)貯金簿は、家計を「俯瞰的」に見ることができるツール
2)貯金が適正に増えていれば、いまの家計管理の方法で大丈夫
3)「貯金簿で自分の『立ち位置』を確かめ、ピンポイントで家計簿を使う

■今回のお話を伺った畠中雅子さんのご著書
『ラクに楽しくお金を貯めている私の貯金簿』
『ラクに楽しくお金を貯めている私の貯金簿』(畠中雅子/ぱる出版 ¥1,500円(税別))
(畠中雅子/ぱる出版 ¥1,500円(税別))

大人気ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんによる、まったり楽しい貯金ライフと、お金回りの知っておきたいことをまとめた1冊。よくあるシビアで苦痛なマネープランや家計簿は止めて、3ヵ月ごとのノート付けで簡単に資産管理が可能になります。
畠中雅子さん
ファイナンシャルプランナー(CFP)、マネーエッセイスト。新聞、雑誌などに連載を持つほか、講演、金融機関へのアドバイザー業務など、常に第一線で活躍するファイナンシャルプランナー。生活実感あふれるお金のアドバイスには、定評がある。

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