「見えないDV」と「大人が夢を追うということ」読者は2つのテーマに着目
約束をやぶり演劇にのめり込んでいった妻の未空と、妻に仕事も家事もさせず自信を奪う夫の尊。双方の立場に立った読者の間では、熱い議論が繰り広げられました。
まずは妻側の意見から。大好きな演劇を見ることすら禁止するという、尊の束縛はあまりに強すぎるのではないでしょうか…?
・尊の愛情は歪んでいると思います。 本当に好きだったら、相手の幸せを望むはず。もし相手の幸せと自分の幸せが違っていても、話し合ってすり合わせようとするはず。結局彼は未空を自分の思うように操りたかっただけでしょう。
・何の役割も与えてもらえず、仕事をすることも強硬に止められた上、夢まで諦めなくてはいけない生活がどれだけつらいか…想像以上すると込み上げてくるものがありました。
結局この夫は、自分の居心地のいい環境を作りたいだけで、家族の幸せを考えることができない人なんだと思います。 ただ、そんな夫をこの主人公が自分選んでしまったのも事実。きつい言い方ですが、人性の岐路で、楽な方に逃げた分の報いなのかとも思います。
一方、尊側に立った意見もたくさん届いていました。そもそも結婚の時に、演劇から離れるって約束しましたよね…?
・結婚の条件が演劇をしないことって約束だったのなら仕方ないよね。
・この人のケースは少なからず妻自身にも責任がある。 夫は結婚してから急に変わったわけではなく最初からこうだった。 演劇の夢は諦めてほしいと言われて、妻はそれを承知して結婚した。
夫からしてみたら「約束を破るな」というのは至極真っ当とすら言えると思う。 「夫が作り上げた指示待ち妻」ではないと思います。夫と自分自身の意志の弱さが作り上げた指示待ち妻でしょう。
・一言でいえば、「勝手」ですね。 自分のしたいことがあるなら、結婚して、子どもを産むことをしなければいい。子どもに母親を選ぶことはできない。夫になる人も支配的と分かるなら、子ども産む前に別れるべき。
ただし、未空が満たされなかった本当の理由は、尊が未空の自信を奪っていたから…という点に着目した読者もいました。
尊のやり口は「見えないDV」と指摘する声も。
・モラハラ夫の典型パターン。人の自尊心をへしおり、依存させ、自己満足を得る。夫婦はお互いがお互いを支え合い、向上していくもの。
・支配欲の塊にしか見えない。 これじゃあ、奥さんの人権を尊重していないのと同じ。上から目線で、自分が一番だから俺の言うことだけおとなしく聞けってことでしょ。
・この夫は、何もできない人をそばに置いて優位に立つことだけが目的だったってことでしょうか?
・こういう状況って本当に複雑。
実際ご主人の方が何でもよくできるし、DVでもなければモラハラでもない、どこが気に入らないのか言葉にして主張できない。本当に辛い状況だと思います。
・これは、一見贅沢な悩みに見えるけど、かなり辛いと思う。自分の存在意義を疑いたくなっちゃいますね。自分がしたことで、誰かが喜んでくれるから人は頑張れる。その機会を奪っちゃ輝けないでしょ。言わなきゃ分からないなら、ちゃんと伝えるべきです。なにもしないことが、役割がないのがどれだけ辛いことなのか。
職場だってそうでしょう?
・どうか目を覚まして! 尊さんは優しくなんかない! 何でも自分の思い通りに支配したいだけの男です。どうてこんな結婚生活を幸せだと思えるの?
・優しい虐待ですよね。確かに暴力とか、酷い言葉といったハッキリとしたDVではない。外からは大切に大事にされてるように見えるようにしてるけど、常に自分優位、奥さんに劣等感を与え続けていくことで、奥さんの成長も妨げてるし、人格だって否定してますよね。
一方、尊の行動は行き過ぎだったものの、未空にも子どもを持つ親としての覚悟が足りなかったという指摘もありました。大人が夢を追うということは、本来大きな覚悟を伴うことのはず…。
・夢を追うことはいくつになってもあっていいと思うし、バカにされることでもない。ただ、大人が夢を追うことは、そこに責任も負うということ。
この嫁は、全てにおいてそれがない。
・子どもが口にする“夢”と、大人が願う“夢”の違いは、「責任を持てるか?」ってことです。そして“夢”を追う以上、相応の努力が必須です。
・せめて子育て終わってから演劇じゃいけなかったのかな? とか少し思いました。
尊と未空、両方の立場に沿った鋭い意見が寄せられました。あなただったらどう思うか…ぜひ本編を読んで確かめてみてください!
▼漫画「籠の中の鳥」
悪意がないから責められない…夫の頼りなさに愕然とする妻【1から10まで説明させんなよ Vol.8】