なぜ学校の「色覚検査」はなくなった? “色覚異常”や“色覚障害”から呼び方も変化、理由を眼科医が解説
これを色覚多様性と呼びます。色覚多様性にはいくつかの種類がありますが、赤と緑の違いがわかりにくいことが多いです」
――以前は「色覚異常」「色覚障害」という言葉が使われていたそうですが、いつから「色覚多様性(特性)」に変わったのでしょうか。
「かつては色覚多様性のある方は、色の違いがわかりにくいことから職業上の問題等を抱えていると考えられてきました。しかし、この問題はあまり重要な違いではなく、本当に問題になるのはごく特殊な条件である場面であり、この違いは些細なものであることが分かってきました。そのため、ハンディキャップを意味する『異常』や『障害』という言葉を避け、個人差を意味する『多様性』という言葉が使われるようになってきました」
――昔は学校でも色覚検査が実施されていましたが、現在は任意に。必須でなくなった背景や現状は?
「色覚検査の由来は19世紀末にさかのぼるそうです。鉄道の信号の色に赤と緑が導入され、その判別が得意ではない人々の存在が明らかになりました。さらに、色覚多様性は遺伝によって決まることがわかり、かつての優生学思想のような誤解から早期に発見すべきとして学校で検査をされるようになりました。