残酷すぎる結末……。血も涙もない予想外の展開と切ないうそ【君が心をくれたから#10】
■悲しく優しいうそのやりとり
人生で一番大切だった10秒間を込めた太陽の花火。
それは初めて太陽が雨に声をかけた日。赤い傘で一緒に帰った高校時代。その花火はとても真っ赤で、大きく花開いた後はまるで傘のように枝垂れ落ちる美しいものでした。
色覚障害を乗り越えて、雨の見ている赤と同じものであることを祈りながら作った赤い花火。そんな数多の意味と想いが込められていた花火は、たくさんの人々のサポートや想いに後押しされ、無事に打ち上げられたにも関わらず……。
あと一歩で見ることがかなわなかった雨は、まるで見えていたかのようなふりをします。
「私たちが見ている赤は一緒だったね。
太陽君、夢をかなえてくれてありがとう」
「悲しそうだった雨の横顔を笑顔にしたい」と花火師を再度目指すことを決意した太陽。しかし、その横顔が見ている先は、花火とは全く違う方角……すでに視覚を失い、見えていなかったことを隠している事実に気づいた太陽は絶望と悔しさで涙を流すしかありませんでした。
■聴覚を失うカウントダウン
この日のために生きてきたと言っても過言ではないほど、雨の希望になっていた、太陽が夢をかなえる瞬間。