差別化が生んだ市場のドーナツ化。その穴を消費者に食べてもらいたい--「THE」水野学、中川淳、鈴木啓太、米津雄介1/2【INTERVIEW】
みんな歯ブラシを乾かすために、歯ブラシスタンドに立てたりコップに立てたりしていますよね。これが証明していることは、歯ブラシをみんな立たせて乾かしたい。でも、これまれの歯ブラシは立っていない。じゃあ、歯ブラシには「立つ」という機能も求められるのではないか…という考えに至る訳です。必要な機能なはずなのに、市場にある商品では実現できていないことを実現させる。これが「THE」的モノ作りの手法の一つです。
水野:僕は、鈴木啓太が作るものは「エモーショナル」と言われるものを「機能」に落とし込んでいるのが特徴的だと思っています。機能や背景をすごく優先させてデザインする人だなと。
「THE」では、デザインの前に“THE”を構成する要素を研究している訳なんです。
――“THE”の開発における5つの基準(形状・歴史・機能・素材・適価)の中に「歴史」がありますが、なぜ歴史なのでしょうか
鈴木:歴史的観点というのはすごく考えていますね。歴史の中に“THE”を探しにいっているという感覚もあります。
中川:ここで言う歴史というのは、古くからあればいいという訳ではないんですよね。消せるボールペン「フリクション」