2017年1月24日 20:00
「ファッションの歴史に足跡を」ヨシオクボデザイナー久保嘉男の哲学――後編【INTERVIEW】
ではクチュールの高級生地を使ってどう料理するかをテーマにしていますし、クチュールの技術をディテールに取り入れることもあります。ただ師の真似をしても意味がないし、人とは違うことをやりたいというのがやはり基盤にあったので、自分は自分の方法でやらなければいけないという想いがブランド立ち上げ当初からありました。――ブランドの軸はぶれることなく現在に繋がっているのですね。本当に自分の作ったものは何処でも見たことがないのか、誰も作ったことがないのか、自問した時期もありました。経験を重ねるにつれて、青二才だった頃の向こう見ずの勢いを失って、“ウケよう”とする服を作っているのではないかと思ったこともあります。その時に気付いたのは、とにかく自分に正直であるべき、そして自分なりの服作りやデザインに関する哲学を押し通すことが重要だということ。だから、美しいシルエットを作るためには1cm、2cmの差も妥協しません。――最後に、今後の展望を聞かせてもらえますか。
本当に、ただただ作り続けるだけです。デザインや服作りにおいて、何かしらの発明や新しいことを生み出せたらいいなとは思っています。そのためにも、情熱が途切れる瞬間まで、この先も繰り返し服を作り続けます。