日本建築の遺伝子とは? 千利休の茶室から隈研吾まで。森美術館「建築の日本展」がスタート
丹下健三は、広島平和記念公園(1954年)、大阪万博記念公園(1970年)など、戦後の国家的プロジェクトを牽引した建築家。1/3とはいえど、宮大工の技術により実物と変わらない高精度で作り上げられた模型はさらに、タブレットPCを通じて当時の様子が伺える写真とともに鑑賞することもできる。
デジタル技術とのコラボレーションといえば欠くことのできない、ライゾマティクス・アーキテクチャーが作り上げた日本建築の原寸スケールを3Dで体験できる空間だ。「Power of Scale」と名付けられたこのインスタレーションでは、レーザーファイバーと映像により、桂離宮や中銀カプセルタワーなど日本建築の空間概念が大小様々なスケールで原寸再現され、鑑賞者はその空間の中に入り込んでダイナミズムを体感することができる。
あまりにも見応えがあるので、小休憩を兼ねて展示の中間に設けられたブックラウンジにもぜひ注目していただきたい。ここは、戦後のモダニズム建築時代を牽引してきたデザイナーたちの名作家具で構成されており、丹下健三研究室が設計したマガジンラック付ベンチを囲むように、剣持勇や長大作、大江宏のデザインした椅子が並び、それらに腰掛け書籍を閲覧したりして過ごすことができる。