100周年を迎える資生堂ギャラリー、初代社長で写真家の福原信三の美学に迫る展覧会を開催
このような領域を超えて美の創造に取り組もうとする福原の姿勢は、芸術と経済の境界を行き来し、さまざまな社会の中の創造的な活動をつないでいくことで、ひいては社会をより良い美しいものに変革していこうとする、これまで知られることのなかった福原の人物像といえるだろう。
福原はまた、こうした活動を推し進めるために、銀座のギャラリーやパーラーといった、人々が出会い、自由に対話することができ、さまざまな新しい価値観を共有し、感化し合えるオープンな場の役割を重視していた。彼の写真を中心とした芸術活動のネットワークも、こうした場とつながり、そのつながりを通して社会の中に存在するさまざまな新しい価値をすくい取り、再び社会へと発信。それらを同時に資生堂の内部にも採り入れ、さらにオウンドメディアである『資生堂月報』(『花椿』の前身)を通じて日本全国へとそれらの情報を届けていった。こうした価値の循環ともいえる社会創造的な活動は、福原の独自の美学に支えられたものであった。
ASSEMBLE「Granby Winter Garden Collage」 Image: Assemble, Granby Workshop / Assemble
本プロジェクトは、こうした福原の本質的な側面を現代において継承し、異なるかたちで社会創造的な活動と芸術の新しいあり様を提示する「アッセンブル(ASSEMBLE)」