シャネル・ネクサス・ホールで個展を開催したヴァサンタ・ヨガナンタン作品集【ShelfオススメBOOK】
の道筋を辿り、現地の人々と生活を共にする中で見られる「ラーマヤナ」の影響をインスピレーションに撮影を敢行。鮮やかな色に仕上げた写真だけでなく、イラストレーションなどの表現、土地固有のイメージを織り交ぜそれぞれ点在させることで、時代を超えたこのストーリーの層を成す一冊を巧みに編み込む。
このような演出により敢えてフィクションと現実との境界線を曖昧にした作品に仕上げている。
第4章にあたる前作『DANDAKA』のエンディングでは、魔王ラーヴァナがラーマ王子の妃であるシータを連れ去ったところで終わっている。ラーマ王子が酷く悲嘆に暮れていると、シータを探し出すべく何十万もの動物が世界中から集まって来た。動物たちは、はるか遠くに光り輝くランカー島があり、そこにラーヴァナがいることを知っていた。
インド東部のタミル・ナードゥ州とスリランカの海岸線沿いで撮影された本作『HOWLING WINDS』は、カラー写真と手描きのアクリルペインティングを組み合わせ、『ラーマヤナ』が綴る魔法の世界を表現している。『ラーマヤナ』は長い時を経て何度も書き換えられ再解釈され続けており、この作品集自体もインド人作家 Arshia Sattar により新たに書き直されたものである。