フランツ・フェルディナンド―4年振りの新作とエディ・スリマン【INTERVIEW】
僕らは自分達のことを、ずっとダンスバンドだと思っているし、それをロックというフォーマットで表現してきた。70年代のアナログ機材やレコーディング手法に固執せずに、新しいテクノロジーも柔軟に取り入れながらやってきたけれど、そのバランス具合はとても重要なんだ。テクノロジーばかりが先行して人間味がなくなると、凄くつまらないものになってしまうからね。
――プロツールス(Pro Tools、オーディオ制作プラットフォーム)によって、デスクトップ上で作業できるようになったのも功罪があることは常々思っていたことです。
Pro Toolsの誕生によって作業が早まったり、音がクリアになったということは良いことだと思う。ただ、その反面、修正することも簡単になってしまったよね。僕は、そこに納得していない。2年前にシチズンズ(Citizens!)のアルバムをプロデュースした時から「修正禁止」というルールを自分に課したんだ。
音の波形データとにらめっこしながら、ほんのわずかなズレを見つけては1クリックで修正してしまう。個性なんて、生まれるはずもないよね。表情もない。雑誌の表紙を飾るモデルの写真をフォトショップで修正するようなもんだよ。